南紀熊野ジオパークを学ぶ
南紀熊野ジオパーク × SDGs
南紀熊野ジオパークは、持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています
貧困や飢餓、教育、ジェンダー、保健、環境、防災、エネルギー、経済格差や若者の失業、気候変動。人類は、これまでになかったような数多くの課題に直面しています。このままでは、人類が安定してこの世界で暮らし続けることができなくなると心配されています。そんな危機感から、世界中のさまざまな立場の人々が話し合い、課題を整理し、解決方法を考え、2030年までに達成すべき具体的な目標を立てました。それが「持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)」です。今、同じ目標に向かって世界中の人々が持続可能な社会の実現にむけて行動しています。
(SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省)
南紀熊野ジオパークの取り組み
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ジオパークの活動に取り組むことは、この目標達成に取り組むことへとつながっています。南紀熊野ジオパークでは、様々な活動を通じて、SDGsの普及と啓発、そして実践に取り組んでいます。ここでは、取り組みの中からいくつかの事例を紹介します。
教育活動

南紀熊野ジオパーク探偵団
この活動は、中学生や高校生が探究活動を通じて得る新たな気づきをもとに「think locally, act globally(地球規模で考え、地域で行動する)」の視点で、未来を考え、地元が抱える問題の解決に向け、自立的な思考力を備えた人材を育成する教育プログラムです。このプログラムでは、まず初めに参加者全員が和歌山大学の先生からSDGsの考え方を学びます。そして、「海」と「山」のテーマごとに専門家の方々と一緒に活動します。
「海」:新宮市の三輪崎海岸、白浜町の志原海岸の海ごみ回収及び調査活動を通じて海洋プラスチック問題に取り組んでいます。これらの活動はサイトの保全にもつながっています。
「山」:古座川町の北海道大学和歌山研究林にて、人工林と自然林の動植物調査を通じて、森林の生態系の問題に取り組んでいます。
これらの一連の活動は、南紀熊野ジオパークと大学や民間企業が協力し合いながら、活動を行っています。
防災学習
南紀熊野は、巨大地震による津波の被害を繰り返し受け続けてきました。また、2011年に発生した紀伊半島大水害など大雨による大規模な土砂災害も繰り返し発生してきました。これら過去の災害から現在を考え、未来に向けて行動するために、私たちはジオパーク活動を通じて、防災学習に取り組んでいます。
例えば、串本町にある橋杭岩では、その周辺には無数の大きな石が転がっています。これらの石は、「津波石」と呼ばれており、過去の大地震による大津波で、橋杭岩の欠片が流されてきたものであるとされています。これらをもとに大地震や津波について考えるための学習活動を行っています。
また、和歌山県内の全ての中学1年生に配布している学習用ハンドブックでは、災害に関するページを作成し、地震・津波だけではなく、大雨による土砂災害に関係する学習の支援を行っています。
教育普及活動
南紀熊野ジオパークでは、SDGsを達成する上で必要な教育(ESD ; Education for Sustainable Development)に対する支援を行っています。ESDは、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習や教育活動のことです。ジオパーク学習を通じて気候変動、減災・防災、環境問題、文化多様性などをテーマに、出前授業や体験プログラムを提供することにより、持続可能な社会の創り手を育成しています。
エリア内の各学校の要望に応じて、南紀熊野ジオパークガイドを派遣し、授業やフィールドワークの他、地域の住民向けの講演会などを年間を通じて行っています。
ツーリズム・地域振興

ジオパークガイド&ツアー
南紀熊野ジオパークガイドの会には、認定を受けたジオパークガイドが約100名在籍しています。ガイドは、スキルアップの研修などを受けながら常に最新の情報を学び、ガイドスキルの向上に努めています。また、世界遺産ガイドや日本遺産ガイドと兼務していることが多く、普段のガイド活動やガイドツアーなどで幅広く活躍しています。ジオパークの活動を通じ、働きがいと経済効果を実現し、住み続けられる町づくりに貢献しています。
南紀熊野ジオパーク推進事業者
南紀熊野ジオパークでは、一緒にジオパークの活動に取り組む事業者の方々と協力関係を結び、推進事業者として認定し、地域の活性化を図っています。宿泊施設、お土産屋、飲食店、旅行会社や体験施設など、様々な事業者の皆さんと一緒にジオパークの活動を推進しています。
例えば、障害者就労支援施設では、地元食材を使用したバイキングを行い、地域振興に役立てました。
ネットワーク活動

ジオパークフェスタ
ジオパークフェスタは、南紀熊野ジオパークの地域関係者の理解・協力・参加を促すとともに、認知度・理解度の向上を図ることにより、ジオパーク活動を推進し、持続可能な地域づくりを目指しています。このフェスタには、他の地域のジオパークからも参加してもらい、全国的な認知向上のため、様々な機会をとらえながらPR活動に努めています。
研修の企画や参加
全国の他のジオパークからの来訪も歓迎しており、ジオパークガイド研修の場としてもご活用いただいています。令和6年度は、ジオパークに従事して3年以内の全国のジオパーク関係者を対象に、研修会を実施しました。日本各地17のジオパークから20名以上が参加をしました。
また、日本ジオパークの全国大会や研修をはじめ、海外のジオパークの大会にも積極的に参加しています。地域との関わりを大切にし、エリア内の地域主催のイベントへの参加や各種PRブース出展など、ネットワーク活動への貢献に努めています。