南紀熊野ジオパークを学ぶ

世界遺産と南紀熊野ジオパーク

世界遺産と南紀熊野ジオパーク

熊野信仰は、川・岩・森・滝などへの信仰(自然崇拝)をもとに生まれたとされています。そこに大陸から仏教が伝わると、もともとの信仰と結びついて、「神仏習合」という宗教文化が形づくられていきました。こうした信仰の中心となった霊場と、それらを結ぶ参詣道が一体となって評価され、2004年に世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」として登録されました。特に、自然と人々の営みが長い時間をかけて形づくってきた文化的景観が大きな特徴です。

大門坂(那智勝浦町):那智山へと続く参詣道。石畳と両側に植えられた杉の木が自然環境と交じり合い文化的な景観を形成している。

 

南紀熊野ジオパークには、この世界遺産と重なっている場所があります。世界遺産をジオパークの視点から見ると、同じ場所でも新しい発見があります。

那智大滝のでき方

例えば、日本最大級の落差133mを誇る那智大滝は、滝そのものが信仰の対象となっています。那智大滝は、なぜこの場所に形成されたのでしょうか。地質に注目すると、この滝は、浅い海でできた地層と、マグマが固まってできた岩石との境界にあります。マグマが固まった岩石の方が削られにくいため、川の流れによる侵食の差によって、滝の崖が形づくられました。

 

那智大滝(那智勝浦町)

また、熊野那智大社と熊野本宮大社を結ぶ大雲取越は、険しい山道で知られる参詣道です。この道の大部分はマグマが固まってできた岩体の上を通っており、浅い海でできた地層の上を通る小雲取越と比べると、より険しい道になっています。こうした地質や地形のちがいは、霊場や参詣道のあり方にも影響を与えています。

このように、世界遺産をジオパークの視点から見ると、信仰や歴史の背景にある大地の成り立ちも理解することができます。南紀熊野ジオパークでは、世界遺産の関係機関と連携し、参詣道の保全、学習活動、ガイドの育成、展示や普及啓発などに取り組んでいます。世界遺産とジオパークは、それぞれ異なる視点から地域の価値を伝えながら、保全と活用を進めています。