南紀熊野ジオパークを楽しむ

大自然の中、古人たちの足跡を辿る旅

熊野地方を形作る大自然は、古くから人々にとって恵みであり、ときには脅威でもありました。
新宮市には、川や岩などを崇拝する自然信仰の始まりを思わせる地が多く残されています。そんな自然への畏敬の念や文化の営みが色濃く残されているスポットを探訪し、かつての人々の信仰のルーツや歴史に思いを寄せてみませんか。
世界遺産である“川の参詣道”や熊野速玉大社などの清廉で厳かな空気に魅了されるはずです。

旅のしおり

01

語り部と行く“川の参詣道”
「熊野川舟下り」を体験

かつて皇族たちが熊野本宮大社と熊野速玉大社を巡拝するときに利用したとされる、熊野川の川舟下り。世界遺産“川の参詣道”の旅を体験。熊野川は、奈良県、和歌山県、三重県を流れる長さ約183kmの一級河川。独特の地質を持つ奇岩の数々と、深みのあるブルーの水面が特徴です。

川舟下りは、「熊野川・川舟センター」を出発し熊野速玉大社にほど近い権現川原まで、木造の小舟で行く約90分の旅。語り部が舟に同乗し、熊野川沿いにある多彩な奇岩や美しい滝、それらにまつわる歴史や物語などについて紹介してくれます。途中、島に降り立つこともできるので、南紀熊野の自然を間近で観察してみましょう。

熊野川舟下り

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02

世界遺産・熊野三山の一角
熊野神社の総本宮「熊野速玉大社」

鮮やかな朱塗りの社殿が荘厳な雰囲気を漂わせる、「熊野速玉大社」。熊野本宮大社、熊野那智大社とともに熊野三山の1つとして知られています。自然信仰を源流にした熊野信仰の中心の地。主祭神は、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)という夫婦神です。

境内には、天然記念物に指定されている樹齢1000年のナギの大樹が鎮座しています。葉の形が左右対称なことから、夫婦円満のご利益があるとも。熊野神宝館には、室町時代の蒔絵手箱や檜扇など、約1200点もの貴重な宝物が保管されています。

熊野速玉大社 鮮やかな朱塗りの社殿

鮮やかな朱塗りの社殿

熊野速玉大社 樹齢1000年のナギの大樹

樹齢1000年のナギの大樹

熊野速玉大社

03

古社「神倉神社」に鎮座する
高さ11mの巨石「ゴトビキ岩」

「神倉神社」は権現山の中腹に位置し、熊野三山に祀られる熊野権現が初めて地上に降りたという伝承が残されている古社です。山のふもとから538段の急こう配の石段を昇ると、社殿とご神体「ゴトビキ岩」が目前に。高さ約11m、熊野酸性火成岩類の流紋岩で形成された巨石で、約30mもの長さの大しめ縄が巻かれています。

ゴトビキとは、熊野地方の方言でヒキガエルのこと。山の斜面にヒキガエルのような姿で鎮座する巨石は、息を呑むほどの大迫力。国指定重要無形民俗文化財である熊野御燈祭の祭祀の中心でもあります。

神倉神社とゴトビキ岩
神倉神社までは長い階段を登る

神倉神社まで、長い階段を登ります

後ろには新宮の街並みが広がる

後ろには新宮の街並みが広がります

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04

沼の上に浮かぶ泥炭の島
多様な植物が群生する「浮島の森」

新宮市街地の住宅街の中、突如として現れる「浮島の森」。「新宮藺沢(いのさわ)浮島植物群落」として国の天然記念物に指定されています。総面積約5000m2の泥炭でできた島が、沼の上に浮かんでいる不思議な光景。浮島まで桟橋が架かっており、島を周遊することができます。

島の中心には、「蛇の穴(じゃのがま)」と呼ばれる“底なし沼”が。おいのという美しい少女が沼に棲む大蛇にのみこまれたという伝説もあり。オオミズゴケやヤマドリゼンマイなど多彩な植物約130種類が群生する珍しい島です。

浮島の森

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05

城下町・新宮の繁栄を知る
堅牢な石垣が残る「新宮城跡」

熊野川河口の南岸に築かれた「新宮城」は、眺めの良い城跡公園として多くの人に親しまれています。もともとは源為義の娘・丹鶴姫が住んでいたことから、別名「丹鶴(たんかく)城跡」とも呼ばれます。元和5年(1619年)に紀州初代藩主・徳川頼宣城の付家老・水野氏が入城。その後10代に渡って統治され、城下町として栄えた新宮市。城郭の石垣には、熊野酸性火成岩類の流紋岩が使われており、技術の高さからかつての繁栄を思うことができます。

春には、桜のすばらしい景観を楽しむことができますよ。日本城郭協会「続日本100名城」、「和歌山県朝日夕陽百選」にも選定。

新宮城跡

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