南紀熊野ジオパークを学ぶ

自然

温暖多雨な気候の南紀熊野では、多様な生物が生育・生息しています。

沿岸部には、ウバメガシやスダジイ、ヤブツバキやトベラなど常緑樹を中心とした森がみられます。このような森には、発光性の菌類、シイノトモシビタケの発生がまれに知られるほか、大形のシダ植物、リュウビンタイなども生育しています。

一方、標高の高い山には、ブナなどの落葉樹が見られます。さらには、キイジョウロウホトトギスやキノクニスズカケ、オオママコナなどの固有種、ヒメノボタンなどの稀少種、トガサワラなどの遺存種が見られるなど多様な植物が生育しています。

キノクニスズカケ
シイノトモシビダケ

動物では、ヤマネやヤチネズミ(哺乳類)をはじめ、ウチヤマセンニュウ(鳥類)、ナンキウラナミアカシジミ(昆虫類)などの希少種が数多く生息しています。また、ユビナガコウモリの近畿地方唯一の大繁殖地があり、オオウナギの生息地としては分布北限に近い重要な地域でもあります。上記のほか、日本の重要湿地500に選ばれた貴重な湿地が4箇所存在している地域でもあります。

ウチヤマセンニュウ

また南紀熊野は、枯木灘と熊野灘に囲まれています。枯木灘は黒潮の影響を強く受けるため、温帯域に生息する生物とともに亜熱帯域に生息する生物も生息しており、ラムサール条約に登録された世界最北の大規模サンゴ群集があります。一方、深海が沿岸まで迫る熊野灘は、栄養塩類に富む海洋深層水が黒潮などの影響で湧昇を起こすため、生産性の高い豊かな海となっています。そのためマッコウクジラやザトウクジラなどを数多く見ることができます。

サンゴ群集