温泉

 南紀熊野では、古くからの湯治場や湯垢離場として、数多くの温泉が利用されています。白浜温泉、椿温泉、勝浦温泉や湯川温泉などは、自然湧出の温泉を利用して古くから発展してきました。白浜温泉(牟婁の温湯)は飛鳥時代(7世紀頃)からの湯として日本三古湯、日本三大温泉に数えられています。湯川温泉は、5世紀末から続く和歌山県内でも最も歴史の古い温泉地の一つです。さらに、椿温泉と勝浦温泉は、江戸時代から続く歴史ある温泉地です。これらの温泉は、枯木灘弧状岩脈、古座川弧状岩脈に沿う地域に湧出した温泉と考えられています。

白浜温泉(崎の湯)崎の湯(白浜温泉)
勝浦温泉
勝浦温泉

 紀伊半島には最近(第四紀)の火山は存在しませんが、多くの温泉が湧出しています。そのため、温泉の熱源については古くから議論があり、従来は、約1500万年前~1400万年前に古座川弧状岩脈や枯木灘弧状岩脈などを形成したマグマの余熱により、高温流体が割れ目を上昇し湧出したと考えられてきました。しかし、近年では、現在の沈み込むプレートからの脱水による高温流体が弧状岩脈や周辺の割れ目を上昇し、湧出したとする考え方が提唱されています。また、温泉には、温熱作用、静水圧作用、浮力作用、薬理作用、転地効果など、人間の健康の増進に役立つ効果があるため、その効果を求めて、行幸の際には天皇が立ち寄ったり、藩主が保養に訪れたりしてきました。